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仏陀の教え①

 私たちは、日常の生活の中で幸福感を感じるときはどんな時でしょうか。その感じ方は、年齢・生い立ち・環境によっても異なることでしょう。

 価値観に応じた目的・仕事が達成される時。気の合う友人あるいは家族と楽しい時間を過ごしている時。恋愛している時。旅行に出かけて興味・関心のある世界や心安らぐ風景を見る時。ゲーム・カラオケ・ゴルフなど心地よいと感じることに参加・熱中する時。自身の育てた花、作物が実る時。美味しい食べ物を食べる時。心地よい香りに包まれる時。心地よい音楽を聴いている時。優れた人物と出会い刺激を受ける時。第三者に褒められ、認められた時。子、孫の成長、成功に喜びを感じる時。自身あるいは、自身が応援する勝負事に勝った時。お笑い・ドラマなど好きな映像を見ている時。興味・関心のある本、漫画を読んでいる時。お金が儲かる時。等々。人それぞれで他にも沢山あると思われますが、これらは、すべて視覚、聴覚、味覚、臭覚、触覚の五感を満たして幸福感を得ていると言えます。このような状態の時、心の中の根底には、欲望が存在していることが分かります。個人差はありますが、現代の日本社会において現実的には、ある程度これらの五感が満たされる幸福感がないと辛くなってしまい、生きていくのが困難な世の中になっていると思われます。言い換えるならば、今の日本は、平和で、餓死する人が少ない豊かな世の中になっているからこそ、また、健康で長生きできるからこそ満たされる恵まれた幸福感であると思われます。

 ところが、仏教では、五感に頼らない幸福感を得る方法を説きます。それは、執着の無いところから得られる幸福感です。平たく言い換えるならば、過去に起こった嫌な出来事、人間関係【言葉・行動】に対していつまでも根に持たない(過去に対する執着を無くす)。他人と比較し欲しい物を求めず、必要な物との区別をし、物欲に駆られない(物に対する執着を無くす)。金銭欲・損得勘定が働き、他人に施す気持ちが持てない状態から抜け出す(お金、損・得に対する執着を無くす)。これらの執着を持ち続けると、自身だけではなく、周りからも笑顔を奪ってしまいます。現代のあまりにも多種多様な情報化社会の中では、非常に難しいことではありますが、笑顔を無くす執着を捨て、今を大切に『而今』(仏教では、“にこん”と読みます)生きていくことを心に留めることによって得られる幸福感です。執着を無くすことによって、心はリラックスし気持ちが楽になり、心の内から幸福感を感じることができるようになることを仏陀は説いているのです。自分自身の心の持ち方に働きかける事によって得られる幸福感です。

 幸福感を得るため五感を満たす方法と、五感に頼らない方法とは、本質的にアプローチの仕方が異なりますが、両方を実現しながら、なおかつ、無理なく執着の無い幸福感に移行していくことが、心の内から得られる自然な笑顔で生活を送ることができると信じて止みません。

合掌

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