




私の母校である東京理科大学応用化学科の研究室において、硤合憲三名誉教授が長年取り組まれてきた研究が、このたびノーベル化学賞に選ばれましたこと、心より慶賀申し上げます。
東京理科大学は理系総合大学として確固たる地位を有しておりますが、神楽坂校舎には経営学部を除き文化系学部を置かないため、一般には必ずしも広く知られているとは言えません。しかしながら、建学の精神に掲げられた「理学の普及を以て国運発展の基礎とする」の言葉が示すとおり、同大学は専門的見識の深さと学問に対する厳格な姿勢において、常に高い評価を受けてまいりました。
私自身、高校時代は悩みが多く勉学の記憶こそ多くありませんが、大学での四年間は化学の専門教育と合気道の稽古に没頭し、充実した日々を過ごすことができました。応用化学科の卒業式後の謝恩会では、体育局の局長を務めていたご縁から、当時講師であられた硤合先生の御前で挨拶を申し上げる機会にも恵まれ、今なお忘れ得ぬ貴重な経験として心に刻まれております。
改めて思うに、東京理科大学の研究室では、世界に誇る研究が日夜研鑽されており、学生にとっては先生方との出会いこそが学問の翼を大きく広げてくださる原動力となっております。私も先生方の教えを胸に、化学の高校教師として三重に戻り、現在は教師を退き寺院の住職として日々を過ごしておりますが、これらの御縁は私のかけがえのない財産であり、今も深く感謝しております。
硤合名誉教授の御受賞は、理科大の精神と伝統が世界に認められた証であり、母校の一卒業生としてこの上ない喜びでございます。
こころより、ノーベル化学賞受賞のお祝いを申し上げます。
合掌
