• お知らせ

お知らせ

忍辱(にんにく)

 彼岸の中日を迎え、暑さも和らぎ過ごしやすい季節となってまいりました。まだコロナウィルスが終息したとは言えない現状ですが、この連休は各観光地でかなりの混雑が見受けられたようです。「生かされている」ことに感謝してお墓参りだけはしておきたいものです。必ずや心が落ち着くことでしょう。

 「忍辱(にんにく)」とは、「忍耐、我慢すること」と説明されることがありますが、今の日本の教育現場で「そんなことくらい我慢しなさい」「そんなことも我慢できないのですか」と指導者が言ったならどうなることでしょう。真言僧侶は、最低1年以上本山で過酷な修行を行います【実際には本山修行をしないで僧侶、住職になっている者もたくさんいますが・・・むしろ私の知る限り修行自体していない住職の方が多いかも・・・】。その修行はとても厳しく、特に四度加行(しどけぎょう)の約100日間に入ると睡眠時間もほとんどなく耐え抜かなければなりません。肉体的には限界を超え意識があるようでないような感覚になります。だからこそ乗り越えた者は、どのようなことでも乗り越えられるという修行です。今の日本の教育現場では、もちろんこのような修行とは無縁ですし、我慢の必要性も説かれません。私は、一定の基準を超える事象に対しては「我慢することの必要性」を教える側、教わる側の両方が学ぶべきではないかと考えます。しかしながら「忍辱」=「単に我慢すること」ではありません。

 仏教の教えに「六波羅蜜(ろくはらみつ)」があります。この六つの教えを更に三つに分類すると「自利(じり)」、「利他(りた)」、「解脱(げだつ)」に分けることができます。「自利」とは修行によって得た功徳を自分のものにすること(自分に対するご利益)ができるという意味ですが、それが「精進」と「忍辱」に当たります。では「忍辱」とは何でしょう。狭い意味では先述の修行のような肉体的、精神的な忍耐も含まれますが本来の意味するところではありません。忍辱の「辱」という字は、屈辱(くつじょく)の「辱」、侮辱(ぶじょく)の「辱」です。訓読みでは「はじ」、「はずかしめる」です。すなわち他人からの侮辱、はずかしめ、誹謗中傷、悪口、陰口を忍ぶと言うことになります。侮辱、誹謗中傷に対して怒りをあらわにする人もいるでしょう。耐えきれずに悩み、苦しみうつ病になってしまう人もいるでしょう。現代のネット社会では、匿名性から生じる誹謗中傷、嫌がらせから自らの命を絶ってしまう悲しい現実もあります。

 仏教の教えが、2500年の歴史を紡ぎながらまさに現代の人間関係を見越した教えとして存在します。他人からの屈辱的な言動、誹謗中傷、悪口、陰口はいつの世も必ず存在します。人間の業(ごう)として存在し、それらをなくす(他人の意識を変える)ことは非常に困難です。それらに対してひたすら我慢するのではなく、六波羅蜜の菩薩行では、まずその存在を認識することが重要であると説きます。そこで非常に難しいことではありますが、自分へのアプローチとして感情をあらわにして怒ることなく忍び、心を揺さぶられることなく平常心で居ること(不動心;不動明王の何事にも動じない不変な心)が大切であると説いているのです。

    すなわち「忍辱」とは、「精進」同様時間をかけて、自分のペースで心の「寛容性」を少しずつ広げ、自力で自然に「不動心」を身に着けることを徳目(とくもく)として日々生活(修行)するということになります。合掌

    ちなみに疲労回復、滋養強壮、更に最近の研究では癌の予防効果、大腸菌などの殺菌効果もあるとされる食材としての「ニンニク」の語源は「忍辱」と言われています。

「不動明王」第75世法印是明 久米令温大僧正作

真言「のーうまくさんまんだー    ばーざらだん    せんだー    まーかろしゃーだーそわたや    うんたらたー    かんまん」

「忍」第75世法印是明 久米令温大僧正書

にんにくの成分|にんにくのよしだ家 青森にんにく種子の栽培 販売 通販

様々な効能が知られる「ニンニク」

お知らせ一覧へ