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初転法輪 「四諦」 その2

③滅諦とは、苦の原因となる度を越えた執着、欲望、渇愛を開放すれば、苦しみから解き放たれるという真理です。

 ④道諦とは、滅諦の真理が理解できれば、後は具体的な実践(八正道)を行うことによって、苦しみから解き放たれた幸福感に満ちたものとなるという真理です。

 苦しみの消滅に至る実践(八正道)とは、

  • 1.正見(しょうけん):正しい見解を持つことによって思い通りにならない修羅場においても自暴自棄に陥ることなく、試行錯誤しながら創造的に生き抜くことが可能になります。
  • 2.正思惟(しょうしゆい):正しい心の向け方をすることですが、欲望の心を分かち合う心に、怒りの心を慈しみの心に転換していくことです。これは、欲望、怒りが悪いものだと決めつけるのではなく、いったん善悪の判断を横に置いて、欲望、怒りをいのちのプロセスとしてありのままに見つめ、それらを感じ取ることが大切です。このようにして初めて自然な心の転換が可能になります。
  • 3.正語(しょうご):正しい言葉、すなわち偽りの言葉、飾り立てた言葉、二枚舌、仲たがいさせるような言葉を使わない。真実に向かい合い、安心をもたらし、和合をもたらすような言葉を語るよう努めることが大切です。
  • 4.正業(しょうごう):正しい行動を心掛ける。具体的には、いのちを大切にし、生き物をむやみに殺さない。他者の存在と所有物を尊重し、盗む行為をしない。性的な関係を結ぶときは、責任感と敬愛の念を持って行動し、淫らな関係を持たない。すなわち人間を含むすべての生き物に対して敬意に基づいた行為を心掛けることが大切です。
  • 5.正命(しょうみょう):正しい生き方、具体的には、職業観です。人の命を危ぶむ武器や麻薬の売買、人身売買など人の人生を傷つけることにつながるような職業に加担することなく、社会に平和や幸福をもたらすような職業に就くことを心掛けることが大切です。
  • 6.正精進(しょうしょうじん):正しい努力を意味しますが、未だ生じていない悪を防ぎ、すでに生じた悪を遮断する。また、未だ生じていない善を生じさせ、すでに生じた善を完成させることを心に留めて継続的に努力します。
  • 7.正念(しょうねん):正しい気づき、すなわち身体、心のあり方を見つめながら、貪りや憂いを乗り越えていくことです。自分の身体と心に注意深く意識を向け、気づいたことを他者に向けると共感が生まれます。
  • 8.正定(しょうじょう):正しい集中力のことですが、欲望から離れて、ひとつの対象に安定して落ち着いた状態です。集中の初期では思考が働きますが、集中力の深まりとともに思考は消えてリラックスが保たれます。これが瞑想状態であり、こうした集中力は、禅定あるいは三昧(さんまい)とも呼ばれます。

 いくら頭の中でこれらの真理を理解しても、実践が伴わなければ教えは身につきません。このことは、弘法大師(空海)が特に強調したことでもあります。比叡山を開山した最澄は、遣唐使として日本に戻った空海が身に着けた密教の奥深さに感銘し、空海の弟子になります。空海は、最澄に最後の理趣の教えだけは、実践を伴わなければ身につかないと説きます。ところが、最澄はそれを受け入れず、結局最澄は、理趣の教えを身に着けることができませんでした。

『言って行わざるは君子に非ず』

    日本仏教史上の二大巨頭と言われる二人ですが、空海の能力の高さが伺えます。合掌

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