真言宗御室派の総本山である仁和寺の観音堂は、私の修行時代(修行僧)の読経の場でした。私にとっては日々の辛く厳しい思い出の場でしかありませんが、2012年から6年の歳月をかけて修理が行われ、蘇りましたのでご紹介します。
観音堂は、仁和寺創建の約40年後、928(延長6)年頃に造営されたと伝えられています。寺伝では、宗祖大師・空海が開山法皇の第3皇子・真寂法親王の枕元に立ち、建立を告げられたのが創建の由来とも。その後幾度も火災で焼失し、現在の建物は江戸時代初期、1640年頃に再建されたものです。
今回、厳粛な修行の場所として普段非公開となっている内部を特別に公開します。
観音堂の内陣には、須弥壇に安置された本尊・千寿観世音菩薩立像を囲むように障壁画が描かれています。観音堂が建立された1640年頃、京都を中心に活躍した木村徳応という絵仏師らが手がけました。三十三観音菩薩や人が死後に向かうとされる六道の世界が373年の時を経た今も鮮やかに残されています。
観音堂の保存修理事業の完了に伴い、再び堂内に安置された本尊千手観世音菩薩立像、二十八部衆立像など全三十三体を一堂に公開します。燦然と輝く本尊、その両脇に不動明王、降三世明王、色鮮やかな立像中でもひと際大きく、躍動感にあふれた風神・雷神像は圧巻です。その威厳と迫力に満ちた姿をぜひ間近でご覧ください。合掌
◎春期特別内排 5月15日(水)~7月15日(月)
◎秋期特別内排 9月7日(土)~11月24日(日)
拝観時間 9:30~16:30(16:00受付終了)
拝観料 一般1,000円(記念品つき)
高校生以下無料(次世代への文化支援)