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『求道者』②
  •  仏教において、衆生がその業(ごう)の結果として輪廻転生する6種の世界のことを六道と言います。天道、人間道、修羅道(しゅらどう)、畜生道(ちくしょうどう)、餓鬼道(がきどう)、地獄道(じごくどう)です。多くの墓地には6体の地蔵菩薩が安置され、それぞれの世界を見守っておられるとされます。このうち、天道、人間道、修羅道を三善趣(三善道)といい、畜生道、餓鬼道、地獄道を三悪趣(三悪道)と言います。修羅道は阿修羅の住まう世界で終始戦い、争うとされます。苦しみや怒りが絶えないが地獄のような場所ではなく、苦しみは自らに帰結するところが大きい世界とされます。私は独りよがりな自己満足に満ちた勝負事は決して善道とは思えません。むしろ餓鬼道に通じると思われますが、この修羅道が善道である理由は、戦うことで人々を救い、勇気づける場合があることによるものと思っておりました。

 Yahoo!JAPAN「RED Chair」の羽生善治九段のインタビュー第4回の中で、「なぜ勝負するのか?」という質問がありあました。羽生九段は熟慮した様子で「思うところがあります」と言われました。そして「相手がいないとできないものです。個性と個性がぶつかり合って生み出されたものは内容的にもより深いものが生み出されます。意義のある考え方、発想、意図、それらが異なる人との対局の方が面白いものが生まれます。自分だけで考えたものは完成度が高くありません」。と続けられました。結果として勝負はつきますが、そのことよりも切磋琢磨した戦いの過程から作り出される内容に価値があるというのです。相手と作り上げたその内容が棋譜として残り人々に感動を与えるのです。現在の羽生九段は、まさに善道である修羅道を生きておられるのでしょうか。合掌

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