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精進(しょうじん)

 「これからも精進してまいります」という言葉をよく耳にし、文書の中でも拝見いたします。「これからも努力してまいります」でよいところを“受けがいい”という理由でビジネス用語として使われる方も多く、少し違和感を覚える時があります。一方で藤井総太二冠の将棋への取り組みをご存知の方、あるいはスピードスケートの世界で自らを「求道者」でありたいと語る小平奈緒さんの取り組みをご存知の方は「精進します」という言葉がまさに心に伝わってまいります。

 「精進」とは本来どのような意味があるのでしょうか。

 仏教を代表する教えの中に「六波羅蜜(ろくはらみつ)」があります。「六波羅蜜」とは、悟りを求める衆生(菩薩)が行う六つの修行のことで、その中の一つに「精進」があります。また、最高の幸福[完全なる静寂、自由、煩悩のない境地:涅槃(ねはん)とも言います]に至るための八つの実践徳目として「八正道」(はっしょうどう)があり、その中の一つに「正精進(しょうしょうじん)」があります。このように「精進」という言葉は仏教の教えから生じた言葉であり一般によく用いられる「努力」とは大きく異なります。

 では具体的に単に目標達成のために行う「努力」とどのように異なるのでしょうか。

 まず「精進」とは、悪(三毒)を断ち、善(自利利他)に向かう心構えが根底に存在しなければなりません。それ故精神を集中して一生懸命に取り組む姿勢が伴われることとなります。
 次にその精神性から永遠の継続性が求められます。途中で諦めてやめてしまうその時その場限りの「努力」、あるいは目標を叶えたので終わらせる「努力」は「精進」とは言いません。
 最後に「精進」することによって結果としてその人に智慧(般若)が育まれ(波羅密多)、徳が積まれ自らが菩薩となり得ることとなります。合掌

百日紅(さるすべり)

 

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