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本当の「幸せ」とは

「今幸せですか?」「どのような時に幸せを感じますか?」よく問われる質問です。

 私達は物事が自分の思う通りになると幸せと感じがちです。思う通りとは五感(視覚、聴覚、臭覚、味覚、触覚)と意識において自分の好む対象あるいは結果として認識される状態にあると考えられるでしょう。では思う通りにならなければ幸せではないのでしょうか。

 自分の欲が満たされると幸せと感じる人と欲から離れることで幸せを感じることができる人がいます。前者は欲の連鎖と増幅が続き、おそらく永遠に心が満たされることはないでしょう。欲しても欲しても得られない、あるいは得ることができたとしても、いずれ心の中は虚しいままの状態に戻ってしまいます。後者は、欲の虚しさを感じ欲から離れることを美徳と考えることができる人です。このことに気付くのは早ければ早いほどいいと思われます。一生のどこかで「智」を学び精進すべきことにはしっかりと精進し、「足るを知る」ことを身に付けると必要以上に欲することを考えなくなります。心が軽くなり欲への執着がなくなります。まさに至福の心境と言えます。しかし残念ながら老若男女問わず今の日本人の中には必要以上に大きな家、高級な車、贅沢な衣 食等ができることを美徳とし、自分では気付かない内にいつも他人と比較することで笑顔が消え、損するか得をするかを考えないと行動できなくなった人が多く存在することは否めません。

 他者と接する中で心から「ありがとうございました」と言われ感謝される、反対に心から「ありがとうございました」と言い感謝する機会が多い人は、他者との関係を円滑に構築することができ、心豊かに幸せな一日一日を過ごすことができることでしょう。ところが今の日本社会は様々なハラスメント、嫌がらせ、いじめが原因となり、そのストレスが命にまで影響を及ぼす社会となっています。これらの問題が起こる人間関係においては決してお互い「ありがとうございました」の関係は存在しません。他者との関係が自分の幸福度に深く関与することは言うまでもありません。

    幸福度を測る質問の一つに「あなたはこの1年の間にボランティア活動、寄付行為をどれだけ行いましたか?」という問いかけがあります。自分では幸せと感じている人の中にはこの質問に耳を覆いたくなる人もいるのではないでしょうか。正しい宗教感覚を身につけた外国人にとっては当たり前のことでも今の日本人にとっては難しいことの一つです。

 般若心経に「無限耳鼻舌身意」(むーげんにーびーぜっしんに)(眼も耳も鼻も舌も身も意も無く)とあります。意味は「眼の能力も、耳の能力も、鼻の能力も、舌の能力も、身体の能力も、意識の能力も固定されたものでは無い。すなわち自分の感覚を正しいと思い込み自分の経験を正しいと思い込んではいけない。執着を断ち、常に人間に具わった六根(眼耳舌鼻身意)を清らかにすること【六根清浄】(ろっこんしょうじょう)を心掛けなさい」です。般若心経を唱える時間を持っていただければ幸いです。  合掌

府南寺 鐘楼堂

境内の十三重石塔

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